60年代の日本と言えば、池田勇人の所得倍増計画に代表されるように、高度経済成長が推し進められていた時代でありましたが、日本のファッション界にも大きな変革というか、さまざまなムーブメントが巻き起こり、盛り上がりを見せていました。

例えばこちら。
みゆき族

その名も「みゆき族」
1964年の東京オリンピックの年に、銀座のみゆき通りや並木通りにたむろする特徴的なファッションの若者たちが現れ、こう名付けたそうです。
きれいな写真がないので残念ですが、ボタンダウンシャツ、ショーツにローファー・・・そう、彼らの間で流行っていたのは「アイビールック」です。
現代で言うと石田純一スタイルといったところでしょうか。

そしてよくよく見てみると、何やら大きなズダ袋のようなものを持っています。
彼らが持っているこれ、アイビーファッションのブランド、「VAN」の紙袋だそうです(「JUN」派もいたとか)。
とにかく当時はアイビールック全盛の時代で、VANの紙袋を持っていることがオシャレの象徴とされていたとか。

同じ格好をし、同じものを持ち、同じ場所でたむろする若者たち・・・
つい、ホントかよ!と思ってしまうのですが、当時東京オリンピックに向けてでピリピリしていた警察の取り締まり・一斉補導があったぐらいですから、どうやら本当のようです。

そんな感じでワンシーズンの流行が終わったかと思えば、1966年にビートルズが来日し、彼らの「モッズ」ファッションが日本でも注目されるようになりました。
ビートルズ

モッズと言えばモッズコートを連想し、カジュアルなイメージになりそうな・・・
しかし当時のモッズと言えば、このように細身のスーツスタイルが一般的で、3ボタンのジャケット、スリムパンツ、タイやブーツというように比較的フォーマルなスタイルが一般的でした。

そしてビートルズは音楽性の変化とともに、自身のファッションスタイルも変えていきました。
ビートルズ2

派手な色使い、長髪やヒゲなどの奔放なスタイルを好むようになったのです。
もともとこれは当時のアメリカの流行で、ヒッピーから派生した、サイケ調のファッションスタイル。
ドラッグで得られる幻覚や意識拡大を表現しているのだとか。

この流行が日本でも受け入れられ、1967年、新宿東口駅前広場に「サイケ族」と呼ばれる集団が現れました。
サイケ族

汚れたTシャツにジーンズ、サンダルを履き、長髪にヒゲを生やした彼らは、仕事もせずにただたむろしていたそうです。
今はそんなイメージはないですが、当時の新宿はアングラ文化の発信地だったわけですね。

アイビールックも元々は、アメリカ東海岸の名門8大学、アイビーリーグに伝わるファッションでしたので、日本がいかに海外の文化を積極的に取り入れてきたかということが分かります。
文化のグローバル化は、経済のグローバル化より早く進むのかもしれませんね。